2024/06/18 07:45



運というのは『生きていると運ばれる』という意味なんだよ。  

今日から明日に、明日からあさってに、時間は刻々と過ぎるよな。それが運。  

この運というものにオレたちは運ばれる。ここでしゃべってる間も運ばれてんだよ。  

要するに、未来に向かって運ばれるんだよ。  

ところが、この運ばれている間に「勢い」というのがあるんだよ。  

それで「運勢がいい」っていうのは、運に勢いなんだよ。わかるかな。  

運勢って、運に勢いって書くだろ。

「運勢がいいですよ」ってのは、運を運ぶ勢いがいいですよ、っていう意味なの。  

だから、働いてても「は~い」ってダラダラ返事するのと

「はい!」って返事するのとじゃ違うんだよ。  

「はい!」のほうが勢いがいいだろ。  

皿を洗うのでも、ダラダラ洗うのと、チャッチャと洗うんでは違うんだよね。  

女を口説くんだって「オレのカノジョになんなよ」とかって勢いよくいえばいいものを、ネチネチ、ネチネチいってるとダメなんだよ(笑) 

「おまえ、カノジョになんなよ」  

「いやよ」  

「あ、そうかい。じゃ、別の子にするから」  

勢いよくいって、ダメだったら勢いよく帰る(笑)  

要は、運勢のよくないヤツって、すべてに勢いがないんだよ。  

女にモテないヤツでも何でも勢いがない。商売も勢いなんだ。  

その勢いってさ、その人の声とか、顔とか、生きざまとか、全部に出るんだよ。

勢いのなさが全部に出る。  

このテーブルだって、ちょっと押すのと、ドーンと押すのと違うだろ?  

水だって、チョロチョロと水を流したってものは流れないんだよ。  

ところが「さすが」って「流れ石」って書くだろ。水に勢いがあれば、石だろうが岩だろうがいくらでも流れるんだよ。  

だから、勢いがないのに「こうしたいんです」「ああしたいんです」って、無理なんだよ。  

勢いがなければ、ことって起きない。動かないんだよ。  

それで、商売がうまくいかない人の特徴って、勢いがない。返事一つ、笑顔一つ。  

一つひとつに勢いがないんだよ。  

だからね、うまくいかない人のことを見ててごらん。たいがい勢いがないから(笑)  

勢いなくしてこの世の中で成功することってないよ。  

運をよくするには、生き方に勢いがある、っていうことが必要なんだ。  


尾形幸弘 著  

『斎藤一人 商人道』より