2024/05/21 07:57



よく、話が上手くなるためには、“聞き上手”になればいいといわれているよな。 

だけど、聞き上手になるには、
「ただ聞いていればいい」と思っていないかい?

いいかい?

聞き上手とは、“聞き出し上手”なんだよ。

つまり、誘導の仕方なんだ。

たとえば、出版社の人に会ったら、出版のことを聞く。

「いま人気のある本はどんな本ですか?」「売れ続けている著者の方は、どういうところが違いますか?」とか、相手の得意なことを聞けば、話してくれるんだよ。

自分で会社を起こした社長なら、「どういう経緯で会社を作られたのですか?」「どうやって成功したのですか?」とか。

お年寄りの人なら、「戦時中はどんな感じだったのですか?」とか。

自分以外の他人というのは、オレたちが知らない体験を山ほど持っているんだよ。

 「なるほど」というような、タメになる話がいっぱいあるんだよな。

宝の山なんだよ。

だけど、石油と同じで、勝手に湧き出るわけじゃないんだよ。 掘らないと出てこないの。

自ら話さないというよりは、何を語っていいかわからない人が多いんだよ。

オレは人間が大好きなんだよ。人間に興味があるから、どこに行ってもその場所で会った人と話す。

知床を旅行して漁師さんに出会ったら、「どんな魚が釣れるの?」「海が凍ったときは何をしているの?」「どうやって彼女を見つけるの?(笑)」とか、すごく興味があるから尋ねるの。

その人たちにとっては日常だから、おもしろい話だと思っていないけれど、オレたちにとってはオホーツクの氷の海に出ていく話は、すごくおもしろいんだよな。

そのとき、漁師さんにわからないようなことを聞いちゃダメなんだよ。 

そのことがわかったら、この人は何が得意な話なんだろう?どんな業界なんだろう?ということを考えて質問すればいい。

その人の得意なことを聞いてあげると、話が弾んでくる。

「子どもが学校に行かないんですけど、どうしたらいいですか?」なんて、オレに聞くなよな。だってオレも行かなかったんだから(笑)

どうせオレに聞くなら、学校に行かないでも成功する方法を聞けばいいんだよ。

聞き出し上手になれば、誰でもその人しかできない、いい話がある。それを聞き出せる。

神さまが作ってくれた人生のドラマというものがあるんだよ。

だから、誰でも一冊は本を書けるの。

近所を歩いている普通のおばあさんでも、子どもを育てた、戦争を越えてきたといった波乱万丈の物語があるんだよ。

それを聞き出してあげれば、いくらでも話すんだよね。

で、話が尽きないから、「あんた、オモシロい人だね。 家にごはんを食べにおいで」と誘われる(笑)

やっぱり人というのは自分に興味を持ってくれる人が好きなの。

オレが自然に好かれるのは、普通のおばあちゃんを見ても、当人すら気がついていないスゴい経験を積み、素晴らしいドラマを持った女性に見えるからなんだ。

そういう気持ちで話しているから、相手も好意を受け止めてくれるんだと思うんだよね。そうすれば人間関係も上手くいくよな。

聞き上手はただ聞いているだけじゃない。

聞き出し上手なんだよ。


宮本真由美 著

『斎藤一人 大富豪が教える大金持ちになる話し方』より