2024/05/17 07:54



成功する人生を送りたかったら、上を目指して行動するしかありません。

もしかしたら間違っているかもしれないと、こわくてぶるぶる震えながらも、とにかく足を出して、一歩踏み出してみる。

そうしないことには、間違っているかどうかもわからない。

踏み出してみた人にしか、間違いを正して前に進むことはできないんです。

こんなお弟子さんがいました。

私はその人を幼稚園児のころから知っていますが、とにかく気弱で、優しくて、いじめられっ子で、しょっちゅういじめられては泣いて帰ってくる女の子でした。

「あしたはいじめっ子に『やめて』ってちゃんと言うんだよ」と言い聞かせて送り出しても、やっぱり泣かされて帰ってくる。

「やめて」というひと言が言えなくて、ずっといじめられてきた人です。

そんな弱虫のお弟子さんが、この間、携帯電話のショップで、店員さんを怒鳴っているこわいおじさんに、面と向かって注意したそうなんです。

それを聞いて、私はたまげてしまいました。

一緒にいた人の話によると、おじさんは店員さんをずっと怒鳴っていたそうです。

すると突然、近くにいたそのお弟子さんがすっくと立ち上がって、

「もうやめなさいよ!」とおじさんを一喝したそうです。

おじさんに一喝ですよ。信じられません。

あの気が弱くて、優しくて、いじめっ子に「やめて」というひと言がずっと言えなかった弱虫の女の子が。

結局、この人は長い時間をかけて"小さな「やめて」"を言い続けてきた人なんです。

こわくてこわくて、最初はいじめっ子がいないところで「やめて」と言ってみたり、心の中でそっとつぶやいたり。

そのうち小さな声で言えるようになって、ちょっとずつ大きな声で言えるようになって、ようやく20年かけて、怒鳴っているこわいおじさんに「やめなさいよ」とちゃんと言えるまでに成長した。

足を一歩踏み出すのにたった10分でできる人もいるし、20年かかる人もいる。

人はそれぞれだけど、それでも足を出し続ける努力をした人が勝ちなんです。

「こんなこともできないの?」

と言ったって、できない人もいます。

その人にはハードルが高すぎるんだから、もっとハードルを低くして、小さな一歩から始めればいい。

大切なのは、こわくても一歩足を踏み出してみること。

そうやって一歩を踏み出して行動し続けた人が、何十年かかるかわからないけど、自分を成長させて、自分なりの成功を手にできるんです。

思い出してみましょう。

私たちが生まれてきたのは、魂が成長するため、でしたよね。

大金持ちになろうが、会社を大きくしようが、有名になろうが、本当はそんなことはどうでもいい。

大切なのは魂が成長したかどうかということ。

小さな一歩でもいいからそれを刻んで、魂が成長したかどうかということ。

究極、成功とは何かと聞かれたら、魂が成長することなんだと私は思っています。


斎藤一人  著

『変な人が書いた人生の哲学』より