2024/04/02 08:45



人生には、順調にいってる順境のときと、逆境のときがある。    

その逆境のときに、つぶれちゃう人と、つぶれないで伸びる人がいるんだよ。    

伸びる人っていうのは、逆境をうらまないんだよ。    

だから、「何で、こんな目にあうんだ」とか、逆境をうらんだり、天をうらんじゃダメなの。    
わかるかな?    

昔ね、西郷隆盛が勤皇派の運動をしてたときに、殿さまの反感みたいなのを買って、島に流されちゃったことがあったの。    

そのとき、西郷さんは逆境を嘆かずに、「韓非子(かんぴし)」を読んだりして、勉強してたんだよね。    

それで、島を出て行ったとき、スゴいエラい人になっちゃったんだよ。    

もし、島流しにあわないで、西郷さんが京都にいたら、きっと殺されてたよ。    

西郷さんは、島に流されて命拾いをしたうえに、その間、勉強もできたんだよ。わかるかな。    

要するに、逆境のときにクサってないで、やらなきゃならない勉強、というのがあるんだよ。    

人生ね、「いや~、今日は運がいいな」っていうのがあるだろ。    

だけど、みんなは「本当に運がいい」ということがどういうことだか知らないんだよ。    

「運がいい」って、勉強する機会を与えられる、ってことなの。    

それで、それがちゃんと自分の身になってるんだよ。    

勉強もしないで、うまくいったものを「運がいい」と思ってるけど、そんな運は偶然きたものだから、勝手になくなるんだよ。    

それで、その運がなくなったとき、高いところから落っこちたのと同じように、大ケガをするんだよ。    

元の位置に戻るんじゃないんだよ、たたきつけられる。    

元の位置にドンと落ちるから、ケガするぞ、上がれば上がるほど。    

高いところから下に落ちて、ドンとたたきつけられるから、スゴい痛手を被るの。立ち上がれないほどの痛手を被るんだよ。    

だけど、経験して学んで上がっていった人、着実に上がっていった人は、めったに落ちないんだよ。    

だって、上がり方を勉強して、着実に上がってったんだよな。    

だから落ちないんだよ。    

だから、勉強もしないて上がってっちゃった人は、上がり方をあわてて勉強して、実力をつけなきゃいけないんだよ。    

それで、本当は、勉強できる機会を神が与えてくれたことを「運がいい」っていうんだよ。    

だから、うまくいかないときは、その逆境を嘆いたりしてちゃダメなんだよ。    

「オレはがんばってるのに、世の中がどうの、あいつがどうの」とかいってないで、「天がオレに勉強のチャンスを与えてくれた。今、このときは、天が自分に与えてくれた学びの時間なんだ」って。    

自分が順境に戻ったときのために、一生懸命勉強して、その逆境を無駄にしちゃいけないの。    

第一、「世の中がどうの、あいつがどうの」とかって、普通なんだよ。    

普通のことをやってて、人よりエラくなろうったってムリ。    

だって、普通なんだから(笑)    


尾形幸弘 著    

『斎藤一人 商人道』より