私はたくさんの社長や経営者の人を見てきました。      

若いころ、パーティーに行ったら、乾杯の前に、ある社長さんが前に出てきて話を始めたんです。      

その話が、長いのなんの(笑)      

せっかくついだビールの泡も消えてしまいました(笑)      

それを見たとき、こう思ったんです。      

「この人でも社長が務まるのだろうか・・・」と。      

だって、みんなのどが渇いていて、一刻も早くビールに口をつけたいと思っているのに、その気持ちもわからない。      

目の前の人の気持ちもわからない人でも、社長が務まるのでしょうか？      

「それだったら、オレはもっとえらくなる」      

私はそう思ったんです。      

私の近所には、ヤクザでベンツに乗っている人がいました。      

それを見て、思ったんです。      

「カタギの人間がヤクザに負けちゃいけない。オレは、まともに働いて、まともに税金払って、ロールスロイスに乗ろう」と。      

近所や会社を見渡して、「あのヤロウ、ふざけるな！」って思う人がいたら、猛然と勉強してください。      

それで、その人を抜いたときに、      

「あの人がいたおかげで、いまの私がいるんだ」      

「あの人は、観音さまの化身だ」      

そう思うんです。      

「我以外皆師匠（われいがいみなししょう）」っていう言葉があります。      

この言葉の中には、「気に入らない人が、あなたをいちばん成長させてくれる」ってことも入っているんです。      

それなのに、一生、恨みごとを言っていたのでは、一生相手を抜けないんです。      

猛然と勉強してください。      

それでえらくなって、世間から「あなたはどうしてこんなに顔晴れるんですか？」って聞かれたときに、      

「たいしたことしていませんよ」      

「みなさんのおかげなんです」      

「ご先祖さまのおかげです」      

そんなふうに、さらっと言うんです。      

かっこいいでしょ？      


斎藤一人 著

『強運』より